ハワイを造る(一戸建てリノベーション)
1,LDKに関しては和風を徹底的に排除し白を基調とした内装に仕上げ、お仕事で取り扱うハワイウォーターのイメージを盛り込んで、庭にジャグジーを設置し、お客様も御招待できるようにしたい。
2,できるだけ大きな一室空間をつくりたい。
もとの建物は北側の自然に恵まれた景観を全く取り込む意志が読み取れないものとなっていた。
しかも南側は高さ1.5〜4mのみにくい擁壁に面している。東側の広い庭に面しては小さな窓があるだけであった。新プランでは、一階の和室群と坪庭、リビングダイニングキッチンを一体化して大きな一室空間をつくり、室内の延長としてのテラスを東の庭にできるだけ大きく設けてジャグジーを設置した。ジャグジーは屋外のニッパヤシで屋根を葺いた8角形の小屋の中に置かれる、小屋の構造補強に使われている格子は玄関に使われていた和風演出の為の格子スクリーンを転用した。
一階は外部に面する建具を元のアルミサッシから木製の格子付きに替え、アルミサッシではできない雰囲気をつくりだしている。
特にテラスにつながる一間巾の建具2枚は完全に壁に引き込まれてしまう為、屋外と室内との一体感がより強いものになり、リビングの奥からジャグジーに至るまでの視線をさえぎる事もない。壁,天井は石灰石を主材とした天然素材の塗り壁で仕上げた。
家具、建具、造作は全て塗装で仕上げることによって微妙な色の違いによる違和感をなくした。
建物と庭は当然一体のものであるから庭に要求されるものもまた「ハワイ」であるが、関東で冬を越せる植物だけでトロピカルを演出するのは大変困難であった。
このリノベーションに求められているものは、あまり上質ではない数寄屋風の原形をことごとく消し去り、その対極にあるようなテーマ「ハワイ」を出現させる事が求められている。
インテリアだけのリフォームで「何々風」というのはすぐに飽きてしまいそうだが、この場合は北にひらけた良い景色があり、長年の夢であった屋外のジャグジー、間口二間を全開できる木製建具により広いテラスと一体感を得ることができるアイランド型キッチンの組み合わせでパーティー好きの施主は多様な使い方を十分に活用し楽しんでいる。建物は明らかに以前より活き活きと使われ、リノベーションだからといって、なんら妥協した様子の感じられない、あたかも最初からこのように設計されていたのではないかとさえ思えるものになったと思う。
このすまいは2度テレビで取り上げられており、思い切りのいいイメージの転換と施主の発想の自由さが評価されたものと思う。
お任せではなく、施主がどうしたいかを明確なビジョンとして持っていた事が良かったのだと思う。
もとは和風のすまい。
テラス側にはほとんど開口部は無かった。
テラスと続けて2間の大開口を設け室内と、テラス、更にはジャグジーへと軸線を変更した
テラスに設置したジャグジーより母屋を見る
テラスに面したダイニングよりジャグジーをみる
アイランド型キッチン、御影石の天板
ここは和室だったところ
左に見えるのは和室床の間の書院造の柱を残し、麻紐を巻いてアクセントにしている。
あまりつくりの良くなかった茶室を躊躇なく壊し、寝室とした。
一風変った雰囲気、アジアンテイストといえばいえるかもしれません。
お手持ちの厚い板を使ったテーブルを洗面カウンターに転用
おトイレもノスタルジックな感じに
子供室の照明器具のつばさは事務所所員の手づくり
とても喜んでいただいた。