エコネット鯖江
正面 この施設のあらゆる環境装置がそのまま建物のデザインとなっています。
撮影:北嶋俊治
環境に対する活動が活発な鯖江市で活動する環境NPO事務局を収容する施設としてふさわしい環境建築物が建てたい。
鯖江市中河小学校の設計設計中に、敷地内にこの施設を設計するよう市長から依頼があった。
鯖江市の市民による環境活動のセンターとして整備された施設であり、自然エネルギーの活用を第一の目標に置いた実験的な省エネ建築です。ここで試みた以下の環境装置の試みは、全国の小規模オフィスビルで可能であり、今後の応用を期待しています。
○ 換気
西側は遮るものが少なく川筋に沿って常時風が吹いているので、屋根に恒常風を受けるラッパ状の整流フィンを設け、そこを風が吹き抜けるときのベンチューリ効果で室内に空気流を起こす換気システムを採用しています。
○ハイブリッド空調
通風と機械式空調を組み合わせたハイブリッド空調を採用した。また、ペリメーター部の負荷は、井戸水を利用した冷却用のラジエーターを南側窓部に設置しました。
○光の制御
南側の窓にライトシェルフを設け、部屋の奥まで光を届け、室内の明るさの均整度をたかめた。また、ルーバーによる直射日光の遮断も行っています。
この建物はその環境建築としての性格から、環境機能自体が建物のデザインとなっていますが、1階の駐車場、中間層のオフィス研修機能、最上部のラッパ状の風の塔からなる3層構造はそのまま一般オフィスへの応用の可能性を示しています。
第8回JIA環境建築賞入賞
環境都市鯖江にふさわしい環境NPO拠点ができました。一般市民に限らず、市内の小中高の子供達の環境学習に役立てています。
窓正面の横ルーバーは夏の直射日光を防ぎ冬季の光を取り込みます。側面の格子ルーバーは東西の直射日光を遮ります。くちばし状の突き出したガラス窓は「ライトシェルフ」と呼ばれる反射光を内部に取り込む反射板を持つ庇です。
撮影:北嶋俊治
北面は半透明スクリーンによる2重壁面で構成されています。夏は上部の換気フィンで吸い上げた空気の通り道になり、室内の空気を換気します。冬は黒く塗られた内壁で暖められた空気が状況気流によって上部に換気されます。
撮影:北嶋俊治
北側夜景です。夜は内壁に開けられた窓が照明で光り、昼間とは違った表情になります。
撮影:北嶋俊治
地場産の和紙で製作した照明器具が下がる研修室です。窓際の窓上部にライトシェルフがあります。冬季は和紙のスクリーンを手前に倒して反射光を取り込みます。夏は室内の使用状況によって閉鎖することで柔らかい光を室内に取り込みます。
撮影:北嶋俊治
環境教育のための教室です。鉄筋コンクリート躯体による門型構造の連続と、環境装置によるモジュールが施設のインテリア全体に展開されています。
撮影:北嶋俊治